よく見る感染症|北区上十条|小児科・耳鼻咽喉科・美容皮膚科|おひさまクリニック

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よく見る感染症

よく見る感染症|北区上十条|小児科・耳鼻咽喉科・美容皮膚科|おひさまクリニック

突発性発疹

夏に流行する感染症

項目 主な症状 診断 治療 登園制限
手足口病 発疹、発熱、咽頭痛 症状から 対症治療 解熱、摂食可
ヘルパンギーナ 発熱、咽頭痛 症状から 対症治療 解熱、摂食可
アデノウイルス 発熱、目の充血、下痢など 症状、迅速検査 対症治療 結膜充血の診断による
溶連菌感染症 発熱、咽頭痛、発赤など 症状、迅速検査 抗菌薬 抗菌薬開始1-2日後
食中毒 発熱、嘔吐、下痢 症状、摂食歴 抗菌薬 症状改善

手足口病

生後6か月くらいから4~5歳ころの乳幼児に多く、夏に流行します。

感染した子の咳やくしゃみを吸い込んでしまう飛沫感染や便から排泄されたウイルスが手に付着し経口感染することもあります。潜伏期間は3~5日くらいです。

中に水を含んだような小さなプツプツ(水疱性丘疹)が、手のひら、足のうら、ひざ、おしりなどに出現します。

口の中や周囲にも発疹が出ます。ほかの夏かぜよりは熱は上がりにくいです。

水疱も痒くないことが多いですが、皮膚のデリケートな子は痒くなるかもしれません。

大きくなると痛みを感じる子が多く、大人がかかると痛みがつらいようです。

喉が痛いときは喉ごしの良いヨーグルトなどをあげてください。

治療は対症療法なので、解熱鎮痛薬で咽頭痛や発熱を和らげます。

かゆみのあるときは抗アレルギー剤を追加します。発疹にはぬり薬は不要で自然治癒します。

手足口病 膝所見

1日目手足口病 膝所見

1日目手足口病 膝所見数ミリの盛り上がった発疹(丘疹)や、中に水が入ったような発疹(水疱疹)が出てきます。

5日目手足口病 膝所見

5日目手足口病 膝所見水疱の皮が破けて、かさぶた(痂皮)になっていきます。たいていは痒みも痛みもありません。

手足口病 足所見

1日目手足口病 足所見

1日目手足口病 足所見数ミリの盛り上がった発疹(丘疹)や、中に水が入ったような発疹(水疱疹)が出てきます。

6日目手足口病 足所見

6日目手足口病 足所見水疱の皮が破けて、かさぶた(痂皮)になっていきます。たいていは痒みも痛みもありません。

ヘルパンギーナ

夏かぜの代表的な疾患で、手足口病と同じウィルス群(コクサッキー、エンテロ、エコー)が原因となります。

2〜3日つづく高熱と咽頭痛で、乳幼児は経口摂取が難しくなることもあります。

乳児では咽頭痛のため口があいたままになりヨダレが増えます。喉ごしの良いもの、好きなものを食べさせてあげてください。

水分がなかなか取れずに脱水症で点滴が必要になることもあります。

水分だけしか受け付けないときはイオン飲料を中心にあげましょう。

上記2疾患は同じようなウィルスによる疾患で、咽頭所見も似ています。

また、腸内にいるウィルスなので下痢や腹痛を伴うことがあります。

アデノウイルス

プール熱、はやり目、腸炎などさまざまな疾患がアデノウィルスによって引き起こされます。

咽頭や目の結膜、腸など粘膜に感染しやすいウィルスです。

喉の所見で扁桃腺に白い付着物(白苔)がみられると疑いが強まります。

たくさんの種類がありますが、発熱と結膜充血があればプール熱と考えられ、感染力が強いので症状が消えて2日間は登園できません。結膜の腫れが強く流行性角結膜炎と診断されたら症状が完全に消失するまで登園できません。

アデノウィルスの発熱は他のかぜより長くなりやすく、4-5日以上つづくこともあります。

血液検査では他のウィルスに比べ、炎症反応が高く出る特徴があります。治療薬はなく対症療法を行います。

溶連菌感染症

A群β溶血性連鎖球菌の感染症を指します。咳や鼻汁は目立たず、咽頭痛が強い(喉の赤みは強い)特徴があります。

頭痛や腹痛、倦怠感を伴うこともあります。全身に赤みの強い紅斑がでることもあります(猩紅熱)。

当院では簡易キットか精度の高い遺伝子検査をしています。10-20分ほどで結果が出ます。

治療は抗菌薬を十分な期間つづけていただきます。(種類によりますが標準的には5日~10日続けるようにしましょう)。

溶連菌は抗菌薬がよく効きますが、指示された期間は薬を続けるべきです。

体が強い反応を起こすと、2週間から2か月後に腎炎(血尿、浮腫み)やリウマチ熱(異常な動き、紅斑など)を起こす可能性が高まるためです。

腎炎の心配のある方には治癒後も受診していただき、尿検査を行うことがあります。(感染しても必ずしもあとで尿検査をする必要はありません、小児科学会などでも検査は推奨されていません。)

登園や登校は抗菌薬を開始して24-48時間経過し解熱していることが条件です。

食中毒

細菌、ウイルス、寄生虫、などが混入した食品や飲料を摂取することで引き起こされ、主に腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状が現れます。

通常の胃腸炎より血便や発熱が続くことが多いです。原因菌により潜伏期間や治療が異なるので、心配な食事内容があればお知らせください。原因としては、青魚、牡蠣、肉で特に加熱が不十分だったり新鮮でない場合は要注意です。

症状が軽い場合は安静にし、水分補給を心がける(経口補水液がおすすめ)。

重い場合は受診してください。特に高齢者やこどもは免疫力が弱いため、より慎重な対策が必要です。

冬に流行する感染症

冬に流行する代表的な感染症を紹介します。インフルエンザやRSウィルス、ヒトメタニューモウィルスなど発熱、咳、鼻汁を中心とする気道感染症は寒く乾燥した季節に流行します。ノロウィルスやロタウィルスは嘔吐・下痢など胃腸炎をおこすウィルスで、冬に流行しやすいです。

項目 主な症状 診断 治療
インフルエンザ 発熱、頭痛、倦怠感 症状、迅速検査 抗ウイルス薬
RSウイルス 発熱、咳、喘鳴 症状、迅速検査 対症療法
新型コロナウイルス 発熱、咽頭痛など 症状、迅速検査 (抗ウイルス薬)
胃腸炎(ノロウイルスなど) 嘔吐、下痢、発熱 症状 対症療法、輸液
マイコプラズマ肺炎 咳、発熱 症状 抗菌薬

インフルエンザ

原因

インフルエンザウィルスは大きくA型とB型に分けられます。

A型は2009年に大流行した新型と、香港かぜといわれる型が最近の主流です。

B型は少し遅れて流行し、治療や予防がやや効きにくいとされています。

飛沫感染といって咳やクシャミから唾液などを介して感染します。

症状

急激に高熱になり頭痛や怠さが出ます。咳や鼻汁も目立つようになります。

治療しなくてもだいたい1週間以内にこれらの症状は改善していきます。

しかし、まれに脳症という重篤な状態になり痙攣や意識障害を起こし死にいたることもあります。

とくに新型では肺炎や喘息の悪化も起こしやすいです。

検査

迅速診断キットで行うことが多いです。発熱からの時間が短いと罹っていても反応が出ない(偽陰性)が多いので、12時間以上たってから検査することが勧められています。

治療

免疫能や体力に問題がなければ、基本的には自然治癒する感染症です。ただ、倦怠感も強く、少しでも症状を早く改善させるためや重症化が懸念される場合に薬物治療を行います。抗インフルエンザウィルス薬は、内服、吸入、点滴の剤型があります。漢方薬も有効です。

いずれも症状を0.5-1日程度短縮させる効果がみとめられています。

年齢や既往歴に応じて薬剤を選びますのでご相談ください。治療開始は発熱から48時間以内が推奨されています。

予防

飛沫感染ですので、マスク、手洗い、うがいが重要です。温度と湿度を高めにすることもウィルスを抑えるのに有用でしょう。もう一つの有用な予防策はワクチンです。予防接種後2週間から5か月程度の効果があるといわれています。

生後6か月以降でワクチン接種ができます。13歳未満は2回接種が推奨されています。

ワクチン接種をしても罹ることはあります、インフルエンザは変異しやすいため、毎年流行するであろうタイプを予測して作られますが外れることもありますし、当たっていても免疫が全員に十分につくわけではありません。

重症化を抑えるためと罹患する可能性を減らすためのワクチン接種でうす。

注射の痛みが苦手な方には経鼻噴霧タイプのワクチンもあります。

注意事項

インフルエンザの時はアスピリンや一部の解熱鎮痛剤は症状を悪化させる恐れがあります。処方された解熱剤を使いましょう。

受診のタイミングは検査に適当かつ治療が有効な、発熱から12時間以上48時間以内、がおすすめです。

季節性インフルエンザはいったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。二次感染、合併症の予防のためにも、できるだけ早く受診することが大切です。

なお、インフルエンザは学校感染症に指定されており、発症後5日を経過し、さらに解熱後2日を経過するまでは登校(園)停止とされています。

RSウィルス

原因

冬に流行するウィルスでとくに2歳未満の小児で問題となります。飛沫感染、つまり唾液などで感染し、4-5日の潜伏期があります。

症状

大量の鼻汁、咳、発熱が主な症状です。細気管支炎などの下気道感染をおこし、ゼイゼイ、ヒューヒューと音がするような喘息に似た苦しそうな呼吸や深い咳を起こします。症状がはじまって、4-5日目にかけて症状が悪化していき、1週間程度で改善していくことが多いです。

生後数か月以内の乳児では入院になることが多い重篤な疾患です。乳児突然死の原因の一つでもあります。

検査

迅速診断キットがありますが、保険適応があるのは1歳未満です。とくに固有の治療法があるわけではないので、当院では重症化のおそれの強い方には検査を勧めています。

治療

診察結果から病態を考え、対症療法が基本です。世界的にも標準治療が示されていません。当院では鼻吸引、喘息や鼻炎で用いる吸入療法(ネブライザー)、症状悪化時にはステロイド内服を行っています。重症例には酸素投与や点滴をして病院を紹介します。外来では症状に応じて、喘息の治療薬や抗生物質、漢方薬を追加することもあります。

予防

マスク、手洗い、うがいが予防の基本です。ただし問題となる年齢は乳児で、これらが十分にはできませんので、まわりのご家族などが徹底してウィルスを持ち込まないようにしてください。

ワクチンはまだ開発されていません。致命的になる可能性の高い乳児に対しては、予防策としてパリビズマブという注射を使用することができます。ワクチンではなく、抗体を投与する注射です。早産、心臓疾患、免疫不全、染色体異常など基礎疾患のある小児に限って適応があります。該当する可能性がある方はご相談ください。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

主に飛沫感染や接触感染を通じて拡散し、パンデミックを引き起こしたウイルス感染症です。病原体SARS-CoV-2はコロナウイルス科に属するRNAウイルスで、変異によって複数の系統が確認されています。感染者は無症状から重症まで幅広く、発熱、咳、喉の痛み、倦怠感、呼吸困難、味覚・嗅覚の異常がみれれることがあります。高齢者や基礎疾患を持つ人は、肺炎や血栓症などの重篤化リスクがあります。

治療法

治療は症状や重症度によります。当院でも処方できますので、ご希望があればお伝えください。また、ワクチン接種が重症化予防に重要とされています。
対策として、マスク着用(特に屋内や人混みでの着用が推奨)、手洗いや消毒、3密(密閉、密集、密接)の回避、定期的なワクチン接種を勧めます。

胃腸炎

原因

こどもの嘔吐・下痢の原因はウィルス性胃腸炎がほとんどです。
寒い時期にはノロウィルスやロタウィルスの感染が多くなります。暑い季節はアデノウィルスやエンテロウィルスの感染や細菌性腸炎(いわゆる食中毒、サルモネラや大腸菌など)が多くなります。

症状

‘おなかの風邪’ともいわれるウィルス性胃腸炎は、典型的には嘔吐が半日から1日、下痢が1週間くらいつづきます。ウィルスは口から入り、胃から腸へ下っていくのでこの順に症状が出ます。嘔吐が1日以上つづく場合は、他疾患の合併も考えますので、必ず診察を受けましょう。高熱が続いたり、便に血が混じるときは細菌性腸炎かもしれません。

特徴

ノロウィルスの感染経路は、人から人への接触感染、吐物などから粒子が舞うことによる感染、生牡蠣などを介した食中毒としての感染、とさまざまであり流行しやすい疾患です。年齢を問わず感染しますので家族全員が嘔吐下痢の症状がでる場合などは可能性が高いです。
ロタウィルスは古くは乳児下痢症といわれたように主に乳幼児がかかる胃腸炎です。白っぽくて酸っぱい臭いの便が特徴的ですが、必ずそうなるわけではありません。
便検査で診断できますが、原因がどちらかであっても治療や対応は変わりませんので、検査をすることは少ないです。
細菌性腸炎は食中毒ともいわれ、卵のサルモネラ、鶏肉のキャンピロバクター、牛肉の病原性大腸菌などが有名です。食べてから数時間から1週間と菌により発症までの期間が異なります。ミドリガメを飼っているとサルモネラ感染が多いことも知られています。

治療

対症療法として、制吐薬や整腸剤を使います。細菌性腸炎であっても抗生物質は不要なことが多いです。
食欲がなくなりますので、脱水にならないように経口補水液(OS-1®、アクアライト®など)を少量頻回に摂取することが勧められます。この経口補水療法は、点滴と同等以上に有効といわれWHOに推奨されています。当院ではOS-1の販売も行っております(200円/500ml)、必要な方はお声かけください。

感染予防

病原体は手を介して口から入ることが多いので、重要なのは手洗い・うがいです。
ノロウィルスはアルコール除菌に抵抗しますので、吐物の処置後などは塩素系の消毒液でふき取りましょう。アルコールしかない場合は2回以上ふくようにしてください。洗濯も塩素系の漂白剤を入れるようにしましょう。
小さいお子さまがロタウィルスに罹ると、脱水で点滴が必要になったり痙攣や脳炎を合併することもあります。予防接種を受けて予防することも大切です。

マイコプラズマ肺炎

肺炎マイコプラズマという細菌によって引き起こされる呼吸器感染症で、小児や若年層に多い病気です。

飛沫感染や接触感染が主な感染経路であり、感染力は比較的低いですが、家庭内や学校など密接な環境で広がりやすいです。

発熱、倦怠感、頭痛、そして持続性のせきが特徴です。

症状は一般的に軽いことが多いものの、重症化すると肺炎や心筋炎、髄膜炎などの合併症が発生することもあります。

抗菌薬による治療が有効ですが、近年耐性菌が増えており、抗菌薬開始後2,3日で奏効しなければ再受診が望ましいです。